今のこと、これからのこと、来年のこと〜D
2020-12-15


★そしてこれから

 大地震などの大災害は一たび起きてしまえば、その復旧・復興に多大な時間を要するものだから、当然ながらそれに罹災した人々のライフスタイル、つまり生き方、考え方さえ変えてしまうのは言うまでもない。
 思い返せば、過去の大地震、首都東京を大火に見舞った関東大震災では、多くの人々がその後に東京を離れて別の地に移住した。
 文人墨客も当然のように、壊滅と化した東京を離れて被害の及ばなかった別の都会、京都や大阪に移り住んだ。
 ちゃきちゃきの江戸っ子だった谷崎潤一郎もその一人で、今ではその作品から関西出身の作家と思われるほど、その地で優れた彼の代表作を多々残している。が、そもそもきっかけは関東大震災なのである。

 また、先の東日本大震災でも、被災それたけでなく原発の放射線被害も怖れて多くの家族、中でも幼い子供がいる世帯は、被害の及ばなかった遠い西の地方、四国や九州へと移住している。
 我の知っている若手ミュージシャンたちも何人もが元々は東京に住んでいたのに子供を連れて、家族で四国や沖縄の島へ移り住んでしまった。
 
 そして今、コロナウィルスという新たな大禍の最中にいる我々もまた同様に東京都心から離れて地方へと移り住む人たちが増えているようだ。
 先だってのニュースで、東京の人口が減少したと報じられていた。「人口」というのはおかしいが、都に住んでいる人の数が初めて減ったのである。そこにはコロナが関係しているそうだ。
 リモート何タラやらで、仕事も学業も通勤・通学の必要性が減り、まして家に居ることが多くなれば、何も息苦しい都会にいる必要はない。何でもオンラインやリモートで済むのならば、もっと自然環境の良い家賃も安くて広い場所に移住したほうが全てが得策だと気づきはじめた、と。
 じっさいテレビでは、奥多摩の格安民家に移住した若い女性が取り上げられていた。奥多摩なら、都心に出るのもさほど大変ではない。彼女はそこで民宿だか、やりたいことが多々あり喜々として抱負を語っていた。
 そう、コロナ禍でさまざまな自粛を強いられ不便な生活を都心で送るよりも在宅で何でも出来るのならば、都心に居る必要性はもはやなくなってきているのである。
 たぶんそれは大阪などの他の大都市圏でも同様の流れではないか。
 ただ、それができるのは、若くて元気で身軽なフリーランス的立場の人たちで、公務員など勤め人の多くはどうしても一か所に固定されてしまうから誰もがカンタンにそうできるわけもない。
 考えてみれば、文人、つまり作家もミュージシャンも基本自営・自由業で、昔も今も身軽だからどこにいたって仕事はできるのである。
 ただこのコロナという大禍で、東京への一極集中という流れは大きく変わったことは間違いない。そしてそれと同時に、経済的なことだけでなく様々な格差も大きく広がってしまった。
 コロナという病気は、罹る、罹らないという以前に、その流行により立場や収入に影響を受ける人とほとんど受けない人とに大別されている。
 影響を受けているのは、まず医師や看護師、保健所などの医療関係者ではあるのは当然として、外出自粛や時短により、飲食業の関係者、そして旅館・観光業などの人、さらには交通機関の人たちもだろう。
 逆に恩恵を受けている人たちもまた確かにいて、ネット通販は当然のこと、マスクなどの医療品の製造・販売に関わる人たちや飲食の配送業、自転車やウクレレなどの楽器もかなり売れ線だと報じられていた。
 が、結果として多くの自営業の人たちは、コロナ不況で商売が成り立たずこの冬のボーナスは出ないと嘆いているのが現実だろう。
 一方そうした「世相」とは一切関係ない人たちもいる。公務員や年金生活者は、収入は常に安定しているからほとんど何も影響は受けない。むろん仕事は煩雑になるなど部署によってはタイヘンだと思うが、経済的な心配はしないですむ。

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[日々雑感]

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